飲み相手 人材派遣会社の価値、起業の社会情勢など

※このページに出ている名前は、私の名前以外すべて仮名です。

本日は、萩原さんの飲み相手をさせて頂きました。

おっさんレンタルCEOの西本さんから、LINEが入った。「クイックおっさん」で、飲み相手をしてほしいとのご依頼があったとのこと。

「クイックおっさん」というのは、誰でも良いからおっさんをひとり派遣してくれ、と依頼するサービスだ。誰でも良いから、ということは、依頼者様から見れば、誰が来るかわからないということだ。これを依頼する人は、相当な度胸がある人だと思う。

待ち合わせ

駅の改札前で待ち合わせる。現れた萩原さんは、カッコ良い女性だった。黒のブルゾンに、黒のパンツ。ブルゾンの下には、赤のニット。私はファッションの知識がないから、この感じをどう表現するのが最も適切なのか、よくわからない。ともかく、可愛い、という表現ではなく、カッコ良い、という表現が当てはまる人だと感じた。

女性の服装というのは、どちらかというと可愛い系に向かうのがよくあるパターンだと思う。萩原さんは、そっちを向いている人ではないようだ。そういう、多数派ではない属性を持つ人と話すのは、多くの場合、楽しい。

そもそも、おっさんレンタルなんていう変なサービスに申し込む時点で、何か普通ではない感性を持っている人なのだろうとも思う。おっさんレンタルでは、そういう感性を持っている人とばかり会える。まだ私は始めて間もないけれど、今のところ、このおっさんレンタルの仕事を、とても楽しんでいる。

駅から徒歩5分ほどの居酒屋へ向かう。道中で、なんでおっさんレンタルに依頼を出したのかを聞いた。萩原さんは、今日予定していた飲み会がドタキャンになったからだ、と説明した。なるほど。飲みたいという勢いを温めていたのに肩透かしを食らうのは、確かにモヤモヤするものだ。萩原さんは、その飲みたいという気持ちを昇華させたかったのだろう。

居酒屋にて

萩原さん

おっさんレンタルでは、基本的に必要経費は全て依頼者様が負担するルールだ。飲み相手の場合は、1時間1000円のレンタル料の他に、おっさん側の飲み食いの費用も負担して頂くことになる。誰かにお金を出してもらって飲むなんて、いつ以来のことだろうか。ここ10年ほどは、少なくとも自分の分は出している。

お金を出して頂いて飲むというのは、なかなかにプレッシャーを感じる。私は、この人を十分に楽しませられるだろうか。この場に来て、初めてその不安を味わった。この感覚は、おっさんレンタルに登録しなければ、死ぬまで感じることはなかったかもしれない。私にとっては、極めて貴重な経験だ。

ビールを頼み、乾杯する。食べ物は、刺身の盛り合わせを頼んだ。

人材派遣会社の状況について

萩原さんは、人材派遣会社で営業として働いているそうだ。私は率直なところ、人材派遣会社を良く思っていなかった。

私は去年の年末まで働いていた会社で、管理会計の仕事をしていた。それぞれの人が、会社対会社の契約として、いくらで雇われていたのかを知っていた。しかし、それぞれの人に人材派遣会社から支払われている金額は、かなり目減りしているようだった。概ね3割~4割ほどが、人材派遣会社に取られているように見えた。

もちろん人材派遣会社にも価値はある。人と仕事のマッチングをしてくれることには、価値はある。だから、そこにフィーが発生するのは当然のことだ。しかし、そうは言っても取り過ぎだろう、という感覚があった。

その感覚を、言葉としてはマイルドに、内容としては率直に話してみた。萩原さんは、ああ、そう感じますよね、と、受け止めてくれた。そして、人材派遣会社が請け負っているさまざまな業務について話された。

派遣社員さんに行う教育の費用、有給休暇のコスト、健康保険や雇用保険のコスト。それらを積み上げると、どうしてもそうなってしまう、というお話しだった。特に保険関係のコストが重たいらしい。

確かに、そういう話はよく聞く。私は、人材派遣会社は中抜きしすぎだ、と確信めいたものを感じていたにもかかわらず、その具体的な金額について計算したことはなかった。検証もなく感覚のみで、そう考えていたということだ。人材派遣の現場で働く萩原さんを目の前にして、私はそのことにようやく気付いた。私は間抜けだったな、と感じた。

副業について

仕事の話に絡めて、私は自分の仕事の話をした。私は去年の年末まで、会社に所属して会社員として働きながら、自分の会社を作り、副業として自分の事業を持っていた。その話をすると、萩原さんは、私も副業してみたいんです、と話された。

萩原さんは、人材派遣会社に入社する前は、アパレルの店員さんをしていたそうだ。そして、その時の接客の経験を活かした副業をしたい、と、漠然とではあるが考えていらっしゃるそうだ。飲食系やファッション系での接客業をしてみたい、とのことだった。

確かに、萩原さんはかなり対人スキルが高いと思う。私のような歳の離れたおっさんと、一対一でよどみなく話すことができる若い女性は、あまりいないだろう。気がつけば、私は心底、心地良く話していた。

これでは、どちらがお金を出しているのかわからない。私は自分の経験の中から、いくつかの事例をお伝えした。

アヤノヤさんという飲食店の事例がある。「宅飲み酒場」というコンセプトで、超小資本で開業した飲食店らしい。開店当時、ネット上で少し話題になったように記憶している。開業が2016年で、現在も営業されているようだ。それについて調べてみると良いかもしれない、とお伝えした。
宅飲み酒場「アヤノヤ」 あやのママのパワフルな関西ノリ|日刊ゲンダイ

ファッション系での起業も、希少価値があるように思ったので、その旨をお伝えした。私がプログラマーとして起業しているからなのかもしれないけれど、今の時代、起業するというとIT系の比率が高いように感じる。

「ファッション系で接客」の起業はどういう状況なのか、家に帰ってから調べてみた。中小企業庁がまとめた起業状況レポートがある。これによれば、「サービス業」の起業率は5.5%と、低い水準だ。「ファッション系で接客」だと、この「サービス業」のカテゴリーに入るだろう。競争相手が少なく、戦う価値はあるように思う。私が勘でお伝えした「ファッション系での起業は希少価値がある」の言葉は、大枠としては正しかったようだ。良かった。

あっという間に予定していた2時間が過ぎ、居酒屋を後にした。萩原さんは、副業を始めたら連絡します、というようなことを話された。酔っているから勢いで仰ったのかもしれないけれど、その言葉を嬉しく感じた。

私も起業したてだから、新しいことを始める人との横のつながりを欲している。おっさんレンタルの依頼者様には、こういう、普通ではないことをする人の比率が高いのだろうと思う。単純に会話も楽しいし、もしかしたらお互いにメリットのある取引先になるかもしれない。もちろん実現する可能性は低いけれど、そういう期待感が、私自身の心の支えになっている気がした。

心地良くのんびりとお酒を飲み、私自身としても自分の事業を頑張ろうと思えた。萩原さんに感謝だ。ありがとうございました!

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